ハラスメントのない公務職場づくりをもとめて質問しました 3月議会
3月議会の本会議で、「ハラスメントのない公務職場づくりをもとめて」代表質問しました。
以下、質問と要望の全文です。
【質問】
市民の福祉向上をめざす行政として、ハラスメントのない公務職場づくりを求めて伺います。
2019年5月に改正労働施策総合推進法(通称 パワハラ防止法)が成立して4年になろうとしています。大企業には2020年6月に、中小企業には2022年4月に、パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置の義務付けが施行されました。
また、男女雇用機会均等法などの他の法律も合わせて改正され、ハラスメントへの対応が強化されています。公務職場における様々なハラスメントの現状と対策を、政府統計の結果も示し、この間の進捗状況も含め伺います。
あらゆるハラスメントは、人権侵害として扱われるべき重大な問題です。
特に、気づかれにくく見過ごされがちな、言葉や身体的暴力とは限らない、態度や情報遮断、さらには、嘘の情報を振り撒くガスライティングなど、じわじわと人を追い詰める心の暴力とも言われるモラルハラスメントの影響はハラスメントを受けている本人だけでなく、所属する組織全体に広がり、常態化すれば組織が機能しなくなるほどの影響を与えます。
被害者の訴えるエピソードの1つ1つは他の人から見ると小さくても、その積み重ねは、PTSD心的外傷後ストレス障害と同様に、長期に渡る影響を残す場合があります。
仕事能力の有無を問わずハラスメントをする側が守られ、受けている側が異動したり辞めたりせざるを得ないような状況を作ってはなりません。
特に、被害者本人以外に気づかれないような場面での「小さな攻撃の繰り返し」を意味する「マイクロアグレッション」は見過ごされがちです。
しかし、こうした状況を見過ごし放置すれば、職場をハラスメントが覆いつくし、市民サービスにも支障が出てきます。
企業では、"ハラスメント3つのリスク"として、「1 損害賠償、人材喪失」「2 職場秩序の乱れ、業務への支障、労働能力の低下」「3 社会的評価の下降」といった重大な問題を引き起こすとしています。
ハラスメントは人権・人格権を侵害する違法行為であり、組織には、労働契約法5条で安全配慮義務、就業環境調整保持義務が規定されています。
現在、多くの企業・組織がハラスメントに関する規定を作成し、対策に取り組んでいます。本市としても早急に対策、対応すべきと考えますが、現在の取り組み状況及び見解をお示しください。
組織の硬直化には、市幹部の女性比率があまりにも低すぎること、などが要因の1つにあげられますが、現在の市役所の女性職員の比率と幹部への起用状況をお示しください。
具体的なハラスメント防止策について伺います。
全職員を対象に、ハラスメント学習会を開くなど、研修が必要だと考えますが、この間、研修などにはどのように取り組まれてきたのか、お聞かせください。
また、ハラスメントはどのようにして起こるのか、ハラスメントにあったらどうすれば良いのか、職員一人一人にどのような権利があるのか、その権利をきちんと伝える、といった対応が必要です。
市役所に「ハラスメント憲章」を規定しておくことは、ハラスメント加害を抑止する効果があるとともに、職員が権利意識を持って安心して長く働ける職場環境に寄与します。ハラスメント憲章の制定についての見解をお聞かせください。
職員が心身症など、仕事をする上で病気等になった際の保障についてはどのような対応がされていますか。また、その保障について周知徹底が必要と考えますが、いかがですか。
組織内におけるハラスメントを想定した設問アンケートに取り組み、集計、問題解析を行ない、職員に対して市としての改善策を示すことが必要だと考えますが、対策をお示しください。
職員が相談をする場合の個人情報の保護についてはどのような対策がとられ、不利益を生じないように、どのような配慮がされているか、お聞かせください。
組織として相談にあたれる相談窓口の体制強化、医師や保健師、カウンセラーといった専門的知識を持った外部委員を配置すること、職員の相談を受ける立場にある人事課や部長課長をはじめとする役職の職員が資質を身につけるために、産業医やカウンセラー、保健師など専門家による研修を受ける事が必要と考えますが、見解をお聞かせください。
また、気軽に相談にいける相談窓口を本庁内に配置し、保健士や心理カウンセラーなど専門的職員を常時配置しておくことが必要と思いますが、見解をお聞かせください。
【要望】
意見と要望を述べます。
近年、職員や議員のハラスメントの防止等について、単独条例を制定する自治体が急速に増えています。2023年2月28日時点で、23の自治体で条例の成立が確認できています。
大阪では、大阪府と忠岡町・池田市が、その他全国で20の自治体(東京都狛江市・世田谷区、埼玉県川越市・東松山市、茨城県牛久市、青森県七戸町・三戸町・五戸町・、福岡県中間市・福岡県、宮崎県三股町・えびの市、北海道愛別町・恵庭市、徳島県吉野川市、三重県四日市市、鹿児島県曽於町、熊本県山都町・あさぎり町、神奈川県大和市)で、単独のハラスメント根絶に関する条例を制定しています。
これは、先ほど質問した「ハラスメント憲章」などと同じく、ハラスメント防止のための抑止力、啓発につながります。こうした宣言を市として行い、住民や職員に周知することをもとめておきます。
ハラスメントは、それを行う者の認識の有無にかかわらず、相手方の基本的人権を損ない、 尊厳を傷つけ、「魂の殺人」とも言われる人権侵害です。
市職員だけでなく、市長や市議会議員によるハラスメントは市民サービスを低下させるだけでなく、その事実が明らかになったときは、市民の信頼を失うだけでなく、社会的信用の失墜につながります。
ハラスメントというのは、やっている本人はその言動の何が問題で、相手がどのように感じて居るのかという事を理解していないことがほとんどです。
企業などで導入されている「PS傾向チェックテスト」は、パワハラ傾向の言動を「P」とし、セクハラ傾向の言動を「S」として、チェックテストから自らの言動傾向を見つめなおして、自制心と自己コントロールによりハラスメント防止をしようとするものです。研修にこうしたものも活用しながら、具体的な対策を行ない、全ての市職員が個人としての尊厳を尊重され、良好な職場環境を確保し市政の効率的運営に寄与できるよう求めて要望を終わります。
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